「山野楽器銀座本店」中央区銀座4-5-6
日本で一番地価が高いと評価されている中央区銀座4丁目交差点。
この並びにある地価公示のポイントが「山野楽器銀座本店」となります。
交差点の土地自体には、地価公示のポイントは置かれていないため、報道などで知る山野楽器の土地が一番高いという印象もあるのではないでしょうか。
令和5年1月時点での地価は「1㎡あたり、53,800,000円」と評価されています。
私たち消費者にとって、賃貸を探す場合など総額を見て借りるかの判断をするかと思いますが、不動産は1㎡あたりの単価で高いか低いかを判断します。日頃食べるラーメンは1杯あたりで高いか安いかを判断しますよね(お肉はグラム)。不動産の単価は1㎡あたりということになります。
単価で見た場合に、山野楽器の土地がどれぐらい高いのかというと、私の故郷新潟の一等地は「1㎡あたり、572,000円」と評価されいるので、新潟の約94倍となります(思ったより高いし少し悲しい)。
ちなみに昭和9年以前までは、水運へのアクセスが評価されていて日本橋の方が地価が高かったようです。銀座が高くなったのは煉瓦街として生まれ変わって、買い物の利便性が高まってからなんですね。
明治11年頃の地価
- 日本橋:1㎡あたり、約93円
- 銀 座:1㎡あたり、約46円
銀座4丁目交差点
日本で一番地価が高い銀座4丁目交差点。
この交差点は「北東・南西に走る国道15号(通称・銀座通り)」と「北西・南東に走る都道304号線(通称・晴海通り)」が交差しています。
この交差点が最高地価ということなので、ここから離れていくにしたがって地価は落ちていくわけですが、「銀座通り」の方が「晴海通り」より高い土地として評価されています。
道路幅員は「晴海通り」の方が広いのですが、買い物の利便性などを見ると広すぎない方がいいんでしょうかね(理由は調査できたら追記します)。

国道15号の北東方面

国道15号の南西方面

都道304号線の南東方面

都道304号線の北西方面
和光の時計塔がシンボルの「SEIKO HOUSE GINZA」
この交差点に佇む建物として有名な和光の時計塔。この時計塔は見ると丸くカーブを描いて建っています。一体なぜでしょうか。

銀座は明治5年(1872)の大火の後、西欧風の煉瓦街へと生まれ変わります。設計者はアイルランド生まれの建築家トーマス・ジェームス・ウォートルス。

ここで不動産鑑定士なら聞くと誰でもワクワクする豆知識、日本で土地の”隅切り”が生まれたのはこのウォートルスからと言われています。
隅切りとは交差点などにある土地の隅っこを切ることで、今ではそこら中で確認できるほど当たり前の、開発にあたって開発者に求められることの一つとなります。
隅が切れてない土地で建物がある場合は出合頭にぶつかってしまいますね。私もほい卒(保育園卒)の身として、保育園時代に角から飛び出した友達同士がぶつかり大怪我してたのを今でも覚えてます。
最近では街中の大きな工事現場でも仮囲いの角の部分が透明のアクリルで見通しがよくなったりしてますよね。
なので、時計塔が丸いのは隅切りで切った敷地に合わせて丸くしているためなのですが、建物の造形も丸くカーブさせる必要はなく、なぜカーブしているのかという理由はあまり分かっていないようです。
当時の煉瓦街の街並みは「東京都江戸東京博物館」にてみれるとのこと。ただ2025年まで改修工事のため現在は休館中です。改修工事後には是非足を運んでみてください、
時計塔の詳細な歴史はこちらを参照ください。
セイコーと時計塔の歩み | SEIKO HOUSE GINZA | 銀座 | セイコーグループ
地価が高いとどうなるの?
地価が高いとどうなるかというと、端的にいえば資産価値が高くなるということ。
そのまんまで仕方がありませんが、資産価値が高いということは、需要が高いということ。なぜ土地の需要が高いのかというと銀座4丁目でいえば店舗として良い商売をやっていけること。そして一等地に構えているとそれだけで広告としても成り立ちます。
一方、資産価値が高くなると維持するのが大変です。日本では土地を持っているだけで固定資産税という税金を支払う必要があります。
固定資産税の算定として地価公示の70%を目安になります。そのため、年間では1㎡あたり保有しているだけで、60万円ほどを税金として納める必要があります。
地価公示53,800,000円×70%×1.7%(固定資産税率1.4%+都市計画税率0.3%)=640,220円
1㎡って1m×1mですからかなり高いですよね。首都圏では戸建の平均的な敷地面積が100㎡程ですので、もしここで戸建程度の敷地を持っていたなら年間6千万円を税金として納めなければなりません。
ちなみに、山野楽器での地価公示では、土地の評価において、1階部分の想定店舗が371.30㎡として、想定店舗の月額賃料が1,400万円程取れるという評価となっています。
この賃料と固定資産税を支払っても商売を維持しているほど売上が立つということなんでしょう(もちろん売上だけではありませんが)。
終わりに
銀座の歴史についてはネット上でもそうですが書籍としても様々なものが出版されています。
私が今回のコラムで参考にした書籍がこちらになります。銀座建築の歴史などが詳しく載っております。
是非、銀座4丁目交差点を訪れた際には、日本で一番高い土地なんだと思いながら買い物を楽しんだりしてみてください。
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